「FOREVER 21無くなっちゃうけど、どう思う?」
「へ~、無くなっちゃうんだ。悲しいね。」
「困る?」
「ちょっと困るかなぁ。圧倒的に安かったから。」
「ユニクロやZARAがあればいい?」
「ユニクロやZARAには行かないけど、H&MやGUよりはFOREVER 21の方が良かった。」
「しまむらって知ってる?」
「なにそれ?」

ユニクロやZARAは、SPAと呼ばれるビジネスモデルで、
企画から製造・販売までを一貫して行い、少品種、多量販売が特徴。
対してFOREVER 21はOEM(相手先ブランド生産)型で、メーカーからの買い取りで品揃えを行い、
多品種、少量販売なのが特徴。
ZARAのビジネスモデルに呼応する国内アパレル関連企業がユニクロならば、
FOREVER 21型のそれに呼応する国内アパレル関連企業は、しまむらという認識が一般的です。
FOREVER 21がダメなら、しまむらもダメなのか?
それとも逆に、FOREVER 21がダメなら、しまむらにとっては「漁夫の利」なのか?

 

8月の終わりには既にFOREVER 21が米国でチャプター11の検討に入った事が報じられ、
動産担保融資による債務は5億ドル(約535億円)とも言われておりましたし、
今年に入ってから、既に中国からも完全撤退しているので、日本撤退の話自体に違和感は無いように思います。
むしろ衝撃的だったのは、FOREVER 21そのものではなく、今年の5月に、米国が対中関税引き上げに踏み切った際に、
金融機関のアナリスト等が指摘していた「最悪シナリオ」が現実味を帯びてきた、という点でしょう。

今年5月に、米投資銀行UBSの小売りアナリストは、
「対中関税が25%に引き上げられると、多数の店舗が閉店に追い込まれる可能性がある」とのレポートを発表しています。
同行では、関税の引き上げによって73の上場企業が持つ店舗のうちおよそ1万2000店が閉店し、
それに伴って400億ドル(約4兆3600億円)の売上損失が出る可能性があると試算
非上場企業まで含めるとさらに影響が拡大することが予想されると指摘していました。

米アパレル&フットウエア協会、アメリカファッション協議会、米アクセサリー協会の発表によれば、
2018年に米国のアパレル業界は180億ドル(約1兆9440億円)以上の関税を支払っており
これは米政府が徴収する関税の40%近くに及ぶが、アパレル業界が輸入品に占める割合は6%程度に過ぎないと指摘しています。
また、米国で現在販売されているフットウエアのおよそ69%、アパレル製品の同42%が中国と関係しており、
これらのサプライチェーンを中国以外に移転させることは簡単ではなく、
デザイナーやメーカー、卸、小売り、輸出入業者など、アパレル業界の全ての関係者が被害を受けるとしています。
さらには、関税の引き上げによって米国の消費者は値上げに直面することになり、
結果としてアパレルやフットウエアの売り上げが落ち、ひいてはアパレル業界の雇用が失われるという壊滅的な打撃となるだろうと指摘。
つまり、中国への制裁としての効果よりも、
米国のファッションブランドや小売り、そして米国の消費者にダメージを与える効果のほうが高いという主張です。

FOREVER 21日本撤退のケースは、複合的要因も考えられるものの、
直接の引き金となっているのは、FOREVER 21個別の要因と、やはり米中貿易戦争だと言えそうで、
ならば、しまむらには直接的な関係は無い、むしろ競合相手が減った分ややプラスかも?
いえ、ビジネスモデルが似ているとはいえ、FOREVER 21としまむらでは、そもそも顧客層も取り扱いラインナップも全く違うのですから、
FOREVER 21としまむらを同一視する事自体に無理があるように思います。
一方で、FOREVER 21の日本撤退が、即ファストファッションブームの終焉に繋がったりもしないでしょう。
16歳の娘は、ZARAやユニクロへは行かずとも、FOREVER 21の代わりにH&MやGUで買い物をするだけです。

つまり、
①FOREVER 21日本撤退⇒同じようなビジネスモデルのしまむらにメリットという説も、
②FOREVER 21日本撤退⇒ファストファッションブームの終焉でしまむらにもデメリットという説も、
全く的外れであるような気がします。
しまむらに対して、FOREVER 21の日本撤退は、ほぼニュートラルなニュースフローという見方で宜しいかと思います。
同時に、FOREVER 21の日本撤退が、他の米アパレル関連企業に連鎖波及しないかどうかを注視したいところです。
既に来年下期に福岡の旗艦店閉鎖を発表しているアバクロ辺りが銀座店も閉めるとなれば、
外資/日系のアパレル販売業界勢力バランスにも大きく影響してきそうですから・・・。

The following two tabs change content below.

投資助言営業マンのコラム

弊社の投資判断・分析者の投資推奨には絶対の自信を持っておりますが、またその一方、助言業務の営業をやっていますと、お客様から学ぶことも多々ございます。考えてみれば日本の中小型株は個人投資家こそが主役のマーケット。助言者としてアドバイスしながらも、主役たるお客様との情報交換を通じて得たマーケットの全体感や今ホットなテーマ、個別株などを情報を、リアルタイムでお伝えしていこうと思っています。